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第五話「小さな、小さな魔法使い」
いつも通りの朝に出会った少年は私達三人の目の前に立ち、少年は自己紹介のなかで自分を先生と言った。
私もしばし驚いていたが、アスナは混乱しながらも少年に飛びかかりながら吼える。
まったく、野生のライオン並の吼え方だ。
いやー、流石アスナだー。
「あんたみたいな、ガキンチョがーーー!!」
アスナがネギと名乗った少年に飛びかかるが、それを私と木乃香で止めにかかる。
私が押さえ
「はいはい、アスナちょっとは落ち着こうねー。」
そして木乃香がアスナの前に立ち
「まーまーアスナ。」
どうどう、と馬をなだめる様に声を掛ける。
すると後方で上に居たはずの高畑先生の声が聞こえる。
「いや、彼は頭いいんだ。 安心したまえ。」
「「いや、それとこれとは別でしょう。」」
私とアスナのツッコミが重なる。
しかし、次に更なる驚くセリフを高畑先生は言ってのける。
「あと、今日から僕に代わって君達A組の担任になってくれるそうだよ。」
まあ、私にしてはそこまで驚く内容ではないのだが(けど結構驚いたけど)隣のアスナはかなりショックが激しかったのかネギ君に掴みかかってギャーギャーわめいている。
それを、横から呆然と見つめていると横に高畑先生がやってきて。
「えと、海里君に木乃香君。 アスナ君はいったいどうしたんだい?」
高畑先生は珍しそうにアスナの姿を見ている。
ああ、そう言えばアスナは極力高畑先生の前ではいい子に振舞っていたからなー。
「えと、まあちょっと色々あって、ねー木乃香。」
説明して良いものやらと考えるがちょっとマズイ気がしたので横の木乃香に話題を振る。
木乃香もちょっと悩んだ顔をしている。
「まあ、色々あったんよー。 気にせんといてください高畑先生。」
私達がそれとなく曖昧な話を高畑先生にしている時、アスナとネギ君の所から一瞬突風のような風が巻き起こる。
なんか、ネギ君が「はくちん!!」とくしゃみのような声と共に突風が巻き起こった気がする。
一時的に風に舞いあがった埃で目を空けることが出来ず、収まって目を空けて見ると目の前に広がっていた物は。
「「「ク、クマパン!?」」」
そう、目の前にあったのは下着姿のアスナだった。
瞬時にアスナは服を脱いだのか? いやそんなことをする必要は無いか。
しかし、アスナも結構カワイイ系のものをはいているんだなーと思った。
横にいる高畑先生は居心地が悪そうに目をそらしている。
さて、当の本人。
クマパン装備のアスナはというと、最初は呆然としていたが状況に気がついて・・・
「キャーーーーーッ!! 何よコレーーーー!!」
悲痛な叫びが学園内に響く。
しかし、なんでいきなり服が脱げたりしたんだろう?
私はそんな事を考えつつネギ君の案内をしていた。
キーンコーンカーンコーンー
聞きなれた、チャイムが学内に響く。
これは、ある人にとっては部活の時間の始まりを告げるものであったり。
またある人には、やっと学校の授業が終り自由な時間の始まりを告げる音なのだ。
チャイムが完全に鳴り終わる。
すると学内が急に騒がしくなり活気に満ち溢れる。
私は、図書館島探検部というのに入っているがその部活は定期的にしか行なわれないので私にとっては今日はノンビリと寮にでも返って雑誌を読んでも良いし、外にでて買い物に行くという手もある。
そう言えば、ネギ君を学園長の部屋に連れていった際にちょっと聞きなれない言葉を学園長が言っていた。
「確か・・・「修行は厳しいぞ。」だったけなー。」
首を傾げながら学校内の広場にたどり着きここで考えをまとめする。
そう、ネギ君はどこかしら不思議な雰囲気があった気がする。
それをアスナも気がついていたらしく、今日は到着したばっかりのネギ君に対して消しゴムの破片を連射していて真意を確かめようとしていたらしい。
ついでに言えばそれを暴いて担任を高畑先生にやってもらうという・・・まあお子様な考え方だ。
しかし、ネギ君はまだ10歳だというのに教師を務めようとする秀才。
だけど、初めての授業は我がクラス特有の雰囲気と勢いに巻かれて困っていた様子だ。
「フフ、まあしょうがないわよねー。」
思い出した光景がおかしくその場で私はクスリと笑ってしまう。
不意に風が広場に冷たい風が吹き抜け私は体を振るわせる。
「っと、流石にまだ寒いかな。 決定、今日はさっさと寮に帰って木乃香の暖かい手料理でも食べることにしよう。」
立ちあがり背伸びをして動こうとすると視界に見知った顔が沢山の本を抱えて階段を降りているのが見えた。
あー、あれは私と同じクラスで同じ部活動に所属する結構仲が良い宮崎 のどかだ。
結構大人しい子なのだが一度打ち解けるとよく話しかけてくる。
「あー、あれじゃ転んだら危ないなー。」
私はのどかの状況を危険と判断し、手伝いに行こうとした瞬間にのどかは見事にバランスを崩し、なぜが真横に移動してかなり高低差のある所へ落ちる。
「なんでーーー!?」
私はそんな言葉を吐きつつ、のどかの落下地点へと駆け寄る。
間に合う理由などは見当たらないが、だまって人が落下するのを傍観できるような性格ではいなのだ。
そして、私の全力疾走も虚しくのどかは地面へ叩きつけられようとした瞬間、私の視界に今日担任になったネギ君が杖を振る姿が目に入ったような気がした。
途端、落下するはずだったのどかの体は中に留まった。
私は自分の目を疑いながらその状況を把握しようと足を止め見間違いではないのかと確認する。
「えーと、やっぱり空中に浮いてる!?」
私の目は今だおかしいのかと思っていると、横にいたネギ君がのどかの体を受け止めようと飛び込み。
ネギ君がのどかの体に触れると同じにのどかの体は再び地面への落下を開始する。
ネギ君の力ではのどかの体を支えきらなかったのか、そのままのどかの下敷きになるように倒れる。
「と、傍観している場合じゃないわよね。」
私はのどかとネギ君の様態を確認しようと足を進めると。
違う方向からアスナが物凄い勢いで起きあがったネギ君を掻っ攫っていく。
「アスナー、ネギ君をさらうとは強硬手段ででるとは。 まあ、先にのどかは大丈夫なのかな。」
アスナとネギ君は後にしてのどかに近寄る。
のどかはゆっくりと体を起こしていた。
「のどか、大丈夫!?」
のどかの体を支えつつ、のどかの状態を確認する。
見たところ外傷はないようだ。
「はあ、怪我がなくてよかった。」
私はホッとしてのどかの顔をみると、ポーっと顔を赤らめている。
「のどか、大丈夫!? どこか打ったりしたの!?」
のどかの体を揺らし安否を確認する。
「はっ!! え、えとか、海里さん!? 大丈夫です!!」
のどかは慌てて立ちあがり本をかき集める。
私はそれを手伝いながら、さっきの出来事を話す。
「まったく、のどかはあんまり無理しちゃだめだよー。 今回はネギ君が身を徹して助けてくれたから良いけど。」
と言うと、のどかは顔を赤らめながら私に聞き返してくる。
「やっぱりさっきのはネギ先生だったんですか。」
私は最後の本を渡しつつ「ええ」と答えネギ君とアスナの跡を追うことにした。
学園内の林の中を掻き分けながら進む。
「確か、こっちに行ったと思ったんだけどなー。」
私は記憶をたどりに林の中を進む、すると奥から聞きなれた声と幼い少年の声が聞こえる。
どうやら言い合いをしているようだ。
「やれやれ、アスナってばあんな小さい子にそんなにむきにならなくても。」
どんどん近づいて行き、あと一歩で二人の仲裁が出来るかなというところまで来たところだった。
言い合いをしているアスナの声が聞こえる
「白状しなさい、超能力者なのね!!」
アスナがSF地味たことを言う。
そんなことあるわけ無いだろうと思いつつ足を進めようとすると今度はネギ君が観念したのか自分のことを言い始める。
「ぼ、僕は魔法使いですよー。」
え? 私はネギ君の言葉に驚き進めようとした足をその場に留め様子を観察することにした。
アスナとネギ君はしばらく言い合いをすると、ネギ君は「仕方が無いですね。」と呟いた瞬間ネギ君の持っていた杖が手から離れ空中に浮く。
「うわ、本当に浮いた!?」
私は口を手で抑えつつ目の前で繰り広げられる行為を見ていた。
どうやら、正体がばれるとマズイらしくアスナの記憶を消すつもりらしい。
「なんと言うか、漫画の世界ね。」
私は今の状況が夢じゃないかと思い始めたことネギ君の呪文が発動してアスナが光につつまれる。
流石にマズイと思ったので私はアスナに向かって飛び出す。
「アスナ!! 大丈夫!!」
「え!!」
するとネギ君は私の存在に気がついていなかったらしく、アスナに杖をむけたまま固まっている。
しかし、光が収まるとアスナはなぜかブレザーのみを残して服が消えていた。
「「「あれ?」」」
魔法をかけたネギ君、かけられたアスナ、そして助けに来た私は同じにアスナの状況に驚いていた。
不意に後方から渋い男性の声が聞こえてきて。
「おーい、そこの3人は何やってるんだー?」
と高畑先生が登場する。
当然アスナの格好に目が行ってしまう。
するとアスナが目に涙をためて・・・
「キャァァァーーーーーーーッ!!」
これが私の珍騒動に巻き込まれる、最初の事件となった。
私、ネギ君、アスナ。
この三人でいったいどうコレからやっていくのか、正直言って不安もあったがそれ以上にコレからのことで機体が高まっていく私であった。
別談
私がアスナに体操服を貸して、ネギ君を私達の部屋へと案内している途中。
風が吹き抜けネギ君の鼻を刺激したのかまたくしゃみをして、お約束というか又アスナの服をひっぺがすことになる。
「アンタはーーーー!!」
アスナは前を隠しつつ、ネギ君を追いかけている。
ネギ君はというと
「うわーーーん、ごめんなさいーー!!」
「ははは、本当に大丈夫かな?」
と腰に手を当てた途端。
「あ、あれっ!?」
私は自分の状態がおかしいことに気がついた。
それに気がついたのか、アスナとネギ君は走るのをやめてこちらを見ている。
「どうかしたの、海里?」
「どうかしたんですか、海里さん?」
どちらも大丈夫といいたげに見つめている。
「えーっと、私もさっきので・・・パンツが・・・。」
私は心の中であううううーーー!! と心底恥ずかしがった。
第五話「小さい、小さい魔法使い」完